2016年甲州種ブドウの生産生育状況について

■甲州市勝沼地区(JAフルーツ山梨勝沼ブロック)

昨年2015年は、4月中旬まで低温、その後高温で推移していったが、今年4月は高めの気温が続き高温乾燥で推移。一転5月に入り、低温・多雨が続き、薬剤散布が遅れた一部の園ではベト病が発生した。甲州市内の平均開花日は5月25日で、入梅は例年より早く、空梅雨で病害虫は少ない傾向。開花時期に天候に恵まれたことから、実付が良く、生育の前進化が顕著。着色先行で生育が進む。また、5月から6月は一部うどんこ病が散見された。

9月までは定期的に降雨はあったものの比較的天候に恵まれたことから、デラウェア種など早熟の品種は糖酸度がそれなりに充実し、健全果のブドウが収穫されている。一転9月中旬からは2週間降雨が続き、全国的にも日照不足が問題となった。長雨により懸念されていた晩腐病があちこちで発生し、その影響によりブドウの収量減に伴う価格の高騰の懸念も出てきた。ボルドー液散布を徹底している園でも晩腐病が見られている。

ブドウの品質は、園によって違いはあるものの、甲州市が本年度から実施している甲州種ブドウの成熟度検査の数値推移からみるとヴェレーゾン以降9月中旬まではどの調査園でも軒並み1週間間隔で0.5度から1度の範囲で糖度が上昇してきたが、中旬以降は、わずかな上昇に留まっている。

本年度のJAフルーツ山梨勝沼ブロックを経由して出荷されるワイン用甲州種の出荷予定数量は454t。晩腐病が蔓延したことにより収穫量は当初の見込より3割超減少すると見られている。同農協を経由するブドウは10月1日を取引の解禁日としているが、JAによると、これら一連の状況により一部のワイナリーから10月1日以前に取引したいという要望が寄せられたという。

 2016年7月から9月の降水量の推移(勝沼観測所)

7月/ 41mm(250mm)前年比/16.4%

8月/173mm(110mm)前年比/157%

9月/194mm(206mm)前年比/94%

※カッコ内は昨年の降水量

imgp1797