参考になれば幸いです。
気象環境と甲州ブドウの生育・成熟(甲州市・2019年)
甲州市観光商工課ワイン・商工振興室
1.生長の過程
2019年は、発芽が4月下旬~5月上旬と前年と比較して10日程度遅く、開花期が6月1日前後、ヴェレーゾン期が8月上中旬、収穫期が9月下旬~10月20日前後という状況で、総体的に生育・成熟は緩慢であった。
2.気温推移(勝沼)
*7月(最高気温36.7℃/平均気温24.0℃)、降水量194.5mm、日照時間98.8h
*8月(最高気温38.0℃/平均気温27.3℃)、降水量80.8mm、日照時間196h
*9月(最高気温36.5℃/平均気温24.0℃)、降水量87.0mm、日照時間170h
3.ブドウの成熟と品質
市内における気象環境において、ブドウの生育期(4月~6月)は、低温、曇天、雨天で経過をし、生育スピードは、前年対比で7日以上の後進となった。
成熟期(7月~9月)は、梅雨明けが7月29日と平年対比で1週間程度の遅れ、7月20日頃までは、夕立を含め連続降雨が幾度とあり、病害虫の発生、着色不良、勝沼地区では降雹が4度確認されている。
また、上記データでも表すとおり、日照不足が顕著であり糖度は上昇せず、酸度及びpHとも高い傾向にあった。
梅雨明け後は一転、高温多湿で推移をし、日照りは続いたが雹やベト病等の被害、開花期の低温等を理由に花穂形状が粗着であったこともあり、早くから収量減が見込まれていた。
一部で烈果による灰色カビ病、晩腐病が発生、健全果の収穫が困難でもあった。
笠掛けをおこなった園は健全果を得ることができ効果を発揮した。
*2019年産系統醸造用甲州ブドウ取引実績量/280t(前年対比89%)
これらを総合的に評価すると2019ミレジムは、山梨県ワイン酒造組合が示すヴィンテージチャート「★★」(5点満点中)が表すとおり、収穫量の減少も重なって、「難しい年」と総括できる。