ぶどう栽培法の比較

日本で醸造用ブドウを栽培するなら棚か垣根か?日本ではぶどう栽培は棚栽培が一般的ですが、海外では垣根栽培が主流です。甲州種なんかはほとんど棚で栽培されていますが、一部垣根栽培を取り入れているワイナリー自園も見受けられます。また、市内では垣根栽培されているのは欧州系品種が多いと思います。先日の日本農業新聞に山梨県果樹試験場の試験栽培の一部結果が掲載されていたのでご紹介します。

品種はカベルネソーヴィニヨンとシャルドネ。仕立ては棚栽培は長梢X字型と短梢一文字型、垣根栽培は長梢ギヨ・ダブルと短梢コルドン。樹齢7年までの結果を判断したそうです。

まずはカベルネについてですが、垣根は樹勢が強くなりよく伸びるので、夏季剪定量が多いが、一律に剪定できるため作業は単純。収量は棚をやや下回る。棚長梢は芽かきや新梢管理に時間がかかったが、果房重が大きい。

収穫量(10aあたりの収量) 垣根長梢926キロ 短梢969キロ 棚長梢1170キロ 短梢848キロ

作業量(10aあたりの時間) 垣根長梢68.1時間 短梢85.8時間 棚長梢79.9時間 短梢42.9時間

次にシャルドネついては、垣根は着粒がよく収量も安定していた。夏季剪定量が多いが新梢管理や剪定作業は単純で時間がかからなかった。棚では、収量はかなり多く、収量制限をしても収益が確保できるが、剪定量が少なくても芽かき、新梢管理に時間がかかる。

収穫量(10aあたりの収量) 垣根長梢1168キロ 短梢1280キロ 棚長梢1930キロ 短梢1471キロ

作業量(10aあたりの時間) 垣根長梢67.5時間 短梢69.9時間 棚長梢158.5時間 短梢130時間

総合的にみると、収入に直結する収量は棚の長梢が多かったものの、ワイン品質は垣根と差がなかった。しかし、棚では管理労力が多くかかる。棚でも十分醸造用品種は栽培できる。だが、規模拡大や新植時は省力的な垣根が適しているそうです。

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